こんにちは!
皆さん、「藻オイル」をご存知でしょうか?
「藻オイル」は、光合成で藻の体内に蓄積されたオイルを取り出し、精製したもので、化石燃料の代替となるほか、地球温暖化防止にも貢献するバイオ燃料として注目されています。
実用化へ向けた動きも始まっており、2017年1月に南米で行われるダカール・ラリーで、トヨタが熊本・天草産の藻類から作った「藻オイル」を車体燃料の一部に使うことが発表されています。
ダカール・ラリーと言いますと、1978年にティエリー・サビーヌによって創始された、ラリーレイド競技大会の一種です。
「世界一過酷なモータースポーツ競技」とも言われています。
トヨタ車体のラリーチーム「チーム ランドクルーザー トヨタオートボデー」は、車両の安全性・信頼性・走破性を実証する為に市販車部門への挑戦にこだわり、3連覇を達成しています。
今回使用する「藻オイル」は、トヨタ自動車グループの自動車部品大手、デンソー(愛知県刈谷市)が製造します。
デンソーはかつて、自動車部品メーカーでありながら、藻オイルを活用したハンドクリーム「モイーナ」を販売しています。
使用したことはありませんが、これはかなり好評だったようですね。
デンソーは今年4月に、中学校跡地を利用したデンソー天草事業所(熊本県天草市)の屋外プール(840平方メートル)を稼働させ、7月には培養実験を始めました。
培養されているのは05年に発見された特殊な藻類「シュードコリシスチス」。
単細胞生物で、大きさは200分の1ミリ。油分保有率は40%で、バイオ燃料に一般的に使われる菜種(20~30%)と比べて高いとのこと。
また酸性で育つため雑菌にも強く、増殖速度も早いのが特徴です。
藻類の二酸化炭素の吸収量は、一般的な森林に比べ5~10倍と多いこともあり、デンソーは08年から研究を始めていました。
これに目を付けたのが「ダカール・ラリー市販車部門」に参戦しているトヨタ車体でした。
07年から全ての燃料に食用油の廃油から作るバイオ燃料を使用してきましたが、2016年1月の大会で、デンソーが愛知県で製造した「藻オイル」(6リットル)を初めて混ぜて使い、3連覇を達成しました。
2017年の大会では、廃食油のバイオ燃料7000リットルに、天草産も加えた「藻オイル」を10リットル混ぜる予定になっています。
少量ですが、ドライバーの三浦昂さん(33)は、
「藻の燃料なんて、未来を描いたマンガの世界のよう。これで絶対にゴールしたい」
と意気込んでいます。
「藻オイル」の今後の課題は低コスト化です。
1リットル当たり1000円以上かかり、1リットル百数十円で取引される菜種などのバイオ燃料と比べて割高になってしまいます。
コストを抑えるためには大規模培養が必要ですが、藻の燃料利用について研究する筑波大の渡辺信特命教授は、
「土地が狭く、気温も低い国内では条件が厳しい」
と指摘しています。
デンソーは1リットル当たり100円台を目標にしており、天草事業所の培養プールの広さを2・5倍にする予定とのこと。
渥美欣也事業企画担当部長(60)は、
「いつかはトヨタ車体が使用するダカール・ラリーの燃料の全てを提供したい」
と夢を語っています。
一般的に使われるようになるには、まだまだハードルが高そうですが、ぜひとも成功させて、エコ・エネルギーとして広めて欲しいと思います!